ウナギ味のナマズ

今、「ウナギ味のナマズ」が話題になっている。近畿大学の研究者が養殖産業と協力し、ナマズのエサを工夫したらウナギそっくりの味になったそうだ。今月からうなぎ屋で試験販売が始まり、お客さんの評判も上々とのこと。既に国内の大手水産商社も「商品として扱いたい」と強い関心を示しているという。
ナマズを調理、販売する奈良県の料理店では「言わなければウナギだと思うかもしれない」「あっさりめの味だけど、これはこれでおいしい」と言った感想が寄せられているそうだ。1匹から2枚のかば焼きができ、値段はウナギの2970円に比べて半値近い1780円。県内2店舗で1日20食の限定販売をしているとのこと。身が大きく、皮が厚いのでさばくのは大変だが、薄く切って濃い目のタレにしたらうまくいったそうだ。
「ウナギ味のナマズ」作りに挑んだのは近畿大学水産経済学研究室准教授の有路昌彦さんと、大学院1年生の和田好平さん。ナマズは川や湖に棲む淡水魚で、生物学的にウナギとは異なる。ただぬるっとした表皮や生息地、食べるものがよく似ていて、「ウナギの代替食になるのでは」と有路さんは以前から注目していたのだそうだ。水のきれいな所で育ったナマズは臭みが全くなくて美味しいという。泥臭いと言われるのは生活環境の影響を受けやすいからで、エサと水を管理して養殖すればウナギ並みになるとのこと。
味の決め手はエサだ。通常、ナマズは淡水魚のエサで育てるため淡白な味になるのが普通だ。しかし油分を多く含む海水魚のエサに切り替えたところ、脂身がぐっと増えてウナギに近いこってり味になったそうだ。さらにタンパク質の多いエサも混ぜ、ウナギに似た弾力が出るよう工夫を重ねているという。
有路さんによれば、江戸時代に平賀源内が「土用の丑」の日を広めるまでは日本人はナマズを良く食べていたという。これほどウナギが主流になったのは平賀源内のマーケティング力によるものだが、今や絶滅の危機に瀕している原因になってしまったと言える。今後は稚魚を乱獲せず、ハレの日のみウナギを食べることにして、普段は養殖しやすいナマズを消費するのが一番いいのでは、と有路さんは訴えている。
既に研究室には大手水産商社や料理店から「商品として扱いたい」という声が届いており、養殖拡大への融資に関心を寄せている銀行も数社あるとか。ウナギの代わりにナマズを食べることが当たり前になってくる日が、近い将来やってくるのかもしれない。